『人を選ぶ技術』を読んで考えた、優秀でも無害とは限らない人の4タイプ

最近、『人を選ぶ技術』という本を読んでいる。まだ読み進めている途中なのだけれど、面白いと思ったところがあったので、今日はその内容を少し引用しながら紹介したい。

今回読んでいる本はこちらです。

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テーマは「人の4タイプと対処法」。人を見るとき、つい「この人は優秀かどうか」だけで判断してしまいがちだ。でも、それだけでは足りない。その人が周囲にとって無害なのか、それとも有害なのかという軸を加えると、人間関係や組織の見え方が変わってくる。

「優秀かどうか」だけでは、人は見分けられない

本の中では、人を二つの軸で整理している。縦軸は「人としての優秀」。横軸は「人としての有害の有無」だ。

縦軸を「人としての優秀」とし、「優秀」か「平凡」かに分けた。

横軸は「人としての有害の有無」だ。

ここでいう「平凡」は、能力が低い人だけを指しているわけではない。「Excellent」以外の、「Good」から「Bad」までを幅広く含む言葉として使われている。

この二つの軸を組み合わせると、次の4タイプになる。

分類 特徴
①「優秀」で「無害」 見逃したくない、組織にとって理想的な人
②「平凡」で「無害」 特に大きな問題がなく、ほどよい距離で付き合える人
③「平凡」で「有害」 有害ではあるものの、見分けやすい人
④「優秀」で「有害」 能力が高いぶん、問題が見えにくい人
人の4タイプと対処法を示す4象限図

ここからは、特に印象に残った4つのタイプについて、自分なりに感じたことも交えながら見ていく。

①「優秀」で「無害」な人

誰もが一番欲しい人。でも、見逃されることがある

誰もが一番欲しい。時々隠れた逸材がおり、見逃さないことが肝要。

このタイプは、会社にとっても、友人関係にとっても、理想に近い存在だと思う。能力が高いだけでなく、周囲に余計な害を与えない。できれば一緒に働きたいし、仲間にもなってほしい。

ところが、こういう人ほど、最初から目立つとは限らない。話し方や学歴、経歴、見た目など、分かりやすい要素に引っ張られてしまうと、本当の優秀さを見落とすことがある。

本の中では、体格を理由にイチロー選手の獲得を見送ったメジャー球団の例が出てくる。結果を知っている今だからこそ、「なぜ見抜けなかったのか」と思う。でも、その場にいた人たちからすれば、当時はそれなりの判断材料があったのだろう。

人は、限られた情報と先入観で相手を判断する。だからこそ、①の人を見つけるには、第一印象だけで決めつけない姿勢が必要になる。

②「平凡」で「無害」な人

人畜無害。あまり論点はない

人畜無害。あまり論点なし。

このタイプについては、無理に深く考えすぎなくてもよさそうだ。特別に優秀というわけではないかもしれないけれど、周囲を困らせることもない。

積極的に登用しなければならないわけでも、意識して避けなければならないわけでもない。感謝しつつ、心地よい距離感で付き合っていくくらいでちょうどいい。

「すべての人を見極めなければ」と考えると、人間関係は疲れてしまう。②のような人まで、必要以上に分析しなくていいという見方は、少し気持ちを楽にしてくれる。

③「平凡」で「有害」な人

避けたいけれど、意外と分かりやすい

もちろん避けたいが、意外とわかりやすいので怪我はしない。

③は、周囲にとって有害ではあるものの、その有害さを巧妙に隠すほどの能力は持っていないタイプだと説明されている。発言や行動に問題が出やすいので、むしろ見分けやすい。

こちらが変な欲をかかなければ、関わらずに済むケースも多い。相手の言葉に違和感がある、約束を守らない、他人への態度が極端に悪い。そうしたサインが見えた時点で、距離を取ればいい。

本の中には、極端な例として、反社会的な集団やチンピラと呼ばれる人たちにも触れられている。怖さや厄介さはあっても、まっとうに生活していれば、そもそも深く関わる場面は限られる。

このタイプで問われるのは、複雑な人心を読む技術というより、自分がどんな人間関係を選ぶか、どこで距離を置くかという判断なのだと思う。

④「優秀」で「有害」な人

いちばん厄介なのは、能力が高くて問題が見えにくい人

棘のあるバラ。対応が難しく落とし穴となりやすい。

このタイプが、4つの中でもっとも厄介だと感じた。すごく優秀なのに、いつも会社への文句を言っている。周囲の人に悪態をつく。ネガティブな言葉を撒き散らす。それでも、仕事の実績だけを見ると評価されている。

本では、自己肯定感の低さから他人をおとしめることで心のバランスを保とうとするケースや、完璧主義でプライドが高く、共感性が低いケースにも触れている。

もちろん、これだけで相手を決めつけていいわけではない。ただ、能力が高い人ほど、問題行動が見えにくくなることはある。本人が自覚していれば、巧妙に隠したり、印象操作をしたりすることもある。

その結果、近くで働く人たちは苦労しているのに、離れた場所にいる上司や、組織の上層部からは高く評価されているということが起こる。実績や評判だけでは、人の有害さを見抜けないという話だ。

④が厄介なのは、短期的な成果と長期的な損失が同時に存在するから

たとえば、営業成績が突出している、難しい案件を一人で片づける、顧客からの評価が高い。こうした成果があると、周囲で起きている小さな問題は「それくらいは仕方がない」と扱われやすい。本人が多少きつい言い方をしても、チームメンバーが何人か離れても、「結果を出す人だから」と見過ごされる。

しかし、組織にとっての損失は、本人の数字だけでは測れない。相談しづらい空気ができると、問題の報告が遅れる。周囲が失敗を隠すようになる。優秀な人ほど先に見切りをつけて退職し、残った人がその穴を埋める。そのころには、④の人が生み出した利益よりも、組織全体の摩耗のほうが大きくなっている場合がある。

見極めるときは、成果ではなく「周囲に何が起きているか」を見る

④の人を見抜くために、単発の失言や一度の衝突だけで判断する必要はない。むしろ、次のような出来事が繰り返されていないかを見るほうが現実的だ。

  • 上司や顧客には丁寧なのに、立場の弱い人には態度が変わる
  • 成果は自分の手柄にし、失敗は周囲の準備不足として説明する
  • 反対意見を改善材料ではなく、自分への攻撃として受け取る
  • 会議では説得力があるのに、実務を担う人の発言がだんだん減っていく
  • その人が関わった部署だけ、退職や休職、相談の遅れが続く

一つだけなら、忙しさや相性の問題かもしれない。けれど、複数の場面で同じ傾向が出ているなら、本人の能力とは別に、周囲へ与える影響を確認したほうがいい。

採用時の評価と、入社後の観察を切り分ける

面接では、④の人ほど自分の実績を論理的に説明できることがある。過去の成果、難しい状況を乗り越えた経験、前職で任されていた役割。話に一貫性があり、受け答えも速いと、採用側は「この人なら任せられる」と感じやすい。

だからこそ、成果の大きさだけでなく、その成果を誰とどう実現したのかを聞いておきたい。チーム内で意見が割れたときにどう動いたか、うまくいかなかったときに誰へ相談したか、過去の同僚からはどんな点を評価されたと思うか。質問への答えそのものだけでなく、他人の貢献をどう語るか、責任の所在をどう捉えているかに、その人の対人関係の癖が出る。

入社後も、売上や納期のような成果指標だけでなく、情報共有、引き継ぎ、周囲との協働、相談のしやすさを見ておく必要がある。④の問題は、数字が落ちてから気づくのでは遅いことがある。数字が出ている段階で、周囲の声を拾う仕組みを持っておくことが、組織を守ることにつながる。

すでに一緒に働いている場合は、人格ではなく行動と影響を扱う

すでに在籍している人を「有害な人だ」とラベル付けして終わりにするのも危険だ。問題にするべきなのは、人格の良し悪しではなく、具体的な行動と、それによって起きた事実である。誰に、いつ、どのような言い方をしたのか。どの業務で情報共有が止まったのか。その結果、誰の仕事が遅れ、どんなリスクが生じたのか。ここを記録し、本人にも同じ事実を伝える。

成果が高いからという理由で、周囲への攻撃や責任転嫁を無制限に許す必要はない。役割と権限を整理し、相談経路を一人に集中させず、行動面の期待値も評価に含める。改善が難しい場合には、チームを守るための配置や契約の見直しも選択肢になる。

「優秀」と「一緒に働きやすい」は別の評価軸だ。④を見極めるというのは、能力の高い人を排除することではない。能力を活かしながら周囲を壊さない働き方ができるかを、実績と同じくらい丁寧に見ることなのだと思う。

見逃したくないのも、警戒したいのも①と④

この4タイプの中で、特に注視すべきなのは①と④だという。①の「優秀で無害な人」を見逃せば、会社なら本当に優秀な人材を失う。人生のパートナー探しなら、理想の相手と出会う機会を逃すことにもつながる。

一方、④の「優秀で有害な人」は、静かにトラブルの芽を育ててしまう。問題が表面化したときには、すでに周囲が疲弊していたり、組織に大きな損害が出ていたりすることもある。

この二つは、見た目だけでは判断しにくい。①は先入観で過小評価されやすく、④は実績や評判で過大評価されやすい。だから、人を見るときには、能力だけでなく、周囲にどんな影響を与えているかまで見たほうがいい。

まとめ

『人を選ぶ技術』を読んでいて面白いと思ったのは、人を「優秀か、そうでないか」だけで分けなかったところだ。優秀でも有害な人はいるし、目立たなくても優秀で無害な人はいる。

①の人は先入観で見逃さない。④の人は、肩書きや実績だけで信用しすぎない。②と③については、必要以上に深追いせず、適切な距離を取る。そんなふうに考えると、職場でも日常でも、人との関わり方を少し整理しやすくなる。

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