職場の人間関係や組織文化について考えるとき、目の前の言動だけを直しても、同じ問題が形を変えて起こることがあります。
成果を出す人の振る舞い、陰口や不満が生まれる背景、チームの対話、採用・育成・評価、経営者や管理職の関わり方など、見直す場所は一つではありません。個人への対応と、問題を生みやすい仕組みの両方から考える必要があります。
この記事では、ブリリアントジャークや陰口を生まない組織づくりを考えるときに参考になる本を、8つのテーマに分けて紹介します。自社でいま向き合いたい課題に近い章から、読む本を探せます。
等級制度や評価の仕組みを見直したい場合は組織づくりと等級制度がわかる本おすすめ30選、面接での見極め方を整理したい場合は面接で候補者を見極める採用の本おすすめ25選も参考になります。
組織の課題から本を選ぶ
職場で起きていることに近いテーマから選ぶと、読む目的がはっきりします。複数の課題が重なっている場合は、最も影響の大きいところから取り組みます。
| テーマ | 見直したい状態 | 該当する本 |
|---|---|---|
| 成果と周囲への影響 | 成果を理由に問題のある言動を見過ごしている | 1〜4 |
| 対話と心理的安全性 | 不満や懸念が本人や会社に届かず、陰で広がっている | 5〜8 |
| チームの協働 | 少人数の同調や派閥化で、本音の議論ができない | 9〜12 |
| 採用の見極め | 入社後に価値観や行動のずれが表面化する | 13〜17 |
| 育成と受け入れ | 役割や期待が伝わらず、不満や孤立が生まれる | 18〜21 |
| 評価と報酬 | 努力や処遇の決まり方が見えず、不信感が募る | 22〜24 |
| 経営者・管理職の関わり | 管理の強化が監視や不信として受け取られる | 25〜27 |
| 組織文化 | 大切にする行動が言葉と仕組みに落ちていない | 28〜30 |
課題1:ブリリアントジャークを見抜き、対処する
成果を出している人の言動に問題があっても、売上や専門性を理由に注意しにくいことがあります。個人の成果と、周囲に与えている影響を分けて考える視点が必要です。
1. あなたの職場のイヤな奴
ロバート・I・サットン/講談社/2008年
2. NO RULES
リード・ヘイスティングス、エリン・メイヤー/日本経済新聞出版/2020年
3. GIVE & TAKE
アダム・グラント/三笠書房/2014年
4. Think CIVILITY
クリスティーン・ポラス/東洋経済新報社/2019年
課題2:陰口・個別メッセージでの悪口を生まない場をつくる
陰口や個別メッセージでの不満は、単に禁止するだけでは消えません。困りごとを表に出せる場と、意見を受け止める側の反応を整えることが出発点になります。
5. 恐れのない組織
エイミー・C・エドモンドソン/英治出版/2021年
6. 心理的安全性のつくりかた
石井遼介/日本能率協会マネジメントセンター/2020年
7. GREAT BOSS
キム・スコット/東洋経済新報社/2019年
8. 他者と働く
宇田川元一/NewsPicksパブリッシング/2019年
課題3:少人数チームの派閥化と同調を防ぐ
少人数のチームでは、限られた人間関係が職場全体の空気に影響します。役割、意思決定、対話のルールを明確にし、同調だけで物事が進まない状態をつくります。
9. あなたのチームは、機能してますか?
パトリック・レンシオーニ/翔泳社/2003年
10. チームが機能するとはどういうことか
エイミー・C・エドモンドソン/英治出版/2014年
11. THE CULTURE CODE
ダニエル・コイル/かんき出版/2018年
12. THE TEAM 5つの法則
麻野耕司/幻冬舎/2019年
課題4:採用の入口で見極める
採用時の印象だけで判断すると、入社後に仕事の進め方や周囲との関わり方の違いが表面化します。求める行動を言語化し、質問と評価の基準をそろえることが大切です。
13. ワーク・ルールズ!
ラズロ・ボック/東洋経済新報社/2015年
14. 採用学
服部泰宏/新潮社(新潮選書)/2016年
15. 人事と採用のセオリー
曽和利光/ソシム/2018年
16. 採用に強い会社は何をしているか
青田努/ダイヤモンド社/2019年
17. NETFLIXの最強人事戦略
パティ・マッコード/光文社/2018年
課題5:入社後の育成とオンボーディング
採用した人が職場になじみ、期待される役割を理解するまでには時間がかかります。受け入れの手順、定期的な対話、早い段階でのフィードバックを準備しておくと、行き違いを小さくできます。
18. 組織になじませる力
尾形真実哉/アルク/2022年
19. 企業内人材育成入門
中原淳 編著/ダイヤモンド社/2006年
20. ヤフーの1on1
本間浩輔/ダイヤモンド社/2017年
21. フィードバック入門
中原淳/PHP研究所(PHPビジネス新書)/2017年
課題6:評価と報酬で不満をためない
評価や報酬の決まり方が見えないと、社員は自分の努力がどう扱われるのか判断できません。制度のつながりと説明の仕方を見直し、納得して働ける条件を整えます。
22. 図解人材マネジメント入門
坪谷邦生/ディスカヴァー・トゥエンティワン/2020年
23. モチベーション3.0
ダニエル・ピンク/講談社/2010年
24. マネジャーの最も大切な仕事
テレサ・アマビール、スティーブン・クレイマー/英治出版/2017年
課題7:経営者・管理職自身の関わり方を見直す
経営者や管理職の態度は、制度以上に職場の空気を左右します。管理を強める場面でも目的と基準を伝え、現場の声を聞きながら信頼を損なわない関わり方を考えます。
25. HIGH OUTPUT MANAGEMENT
アンドリュー・S・グローブ/日経BP社/2017年(新版)
26. 1兆ドルコーチ
エリック・シュミット、ジョナサン・ローゼンバーグ、アラン・イーグル/ダイヤモンド社/2019年
27. 問いかける技術
エドガー・H・シャイン/英治出版/2014年
課題8:組織文化を言葉と行動で根づかせる
組織文化は、掲げた言葉だけでなく、採用、評価、会議、日々の意思決定に表れます。大切にする行動を具体化し、経営者や管理職が率先して実践することが定着につながります。
28. Who You Are
ベン・ホロウィッツ/日経BP/2020年
29. 組織文化とリーダーシップ
エドガー・H・シャイン/白桃書房/2012年
30. カルチャーモデル
唐澤俊輔/ディスカヴァー・トゥエンティワン/2020年
読む順番を決めるときの考え方
30冊を最初から順番に読む必要はありません。まず、問題が起きている場面を一つに絞ります。採用、入社後の受け入れ、日々の対話、評価、経営者の関わり方など、最初に変えやすい場所を選びます。
次に、そのテーマの本を一冊読み、書かれている考え方を自社の会議、面談、評価、行動指針のどこに置き換えられるかを考えます。読んだ内容をそのまま導入するのではなく、会社の規模や職種、現在の関係性に合わせて小さく試すことが現実的です。
面接で周りとの関わり方を確かめる質問は面接を「感覚」で終わらせない質問設計、人事と現場の役割の分け方は人事と現場の役割分担はどう決める?で整理しています。
まとめ
ブリリアントジャークや陰口の問題は、個人の性格だけでなく、対話の場、採用、育成、評価、管理職の関わり方、組織文化が重なって起こります。まずは自社で最も影響の大きいテーマを一つ選び、関係する本から読み始めてください。
本から得た考え方を制度や行動指針に一度で反映させる必要はありません。会議での話し方、問題が起きたときの受け止め方、評価の説明など、変えられる場面から試し、周囲の反応を見ながら整えていくことが組織づくりの一歩になります。































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