面接を「感覚」で終わらせない|最初の2分の印象に頼らず応募者を見極める質問設計

茶色と灰色の円や長方形を組み合わせた幾何学模様 面談・面接

採用がうまくいかない理由を聞くと、「良い人が来ない」という答えが返ってくることが多くあります。ただ、応募はあって、面接もしていて、それでも採用に至らない。あるいは採った人が早期に辞める。この場合、原因は母集団ではなく面接の側にあります。

面接をする側の話として、こんな一節があります。

「面接を受けるよりも難しいことが一つだけある。それは面接を行うことだ」。こんなセリフを、よく耳にすることがある。採用担当者の多くは、面接を脅威にすら感じているようだ。その理由の一つとして考えられるのは、採用担当者が面接を効果的に進めるトレーニングをきちんと受けていないということ。なかにはまったく受けていないという人もいるだろう。

採用するかどうかは、面接の最初の二分で決まる、という調査結果もあった。もしこれが本当なら、採用の判断が主観的に行われてしまっているのではないだろうか。応募者の外見や態度を見て面接担当者の先入観が働き、採用判断が歪められているのである。

キャロル・マーティン『人材を逃さない 見抜く面接質問50[新版]』より

この指摘に、Coreとしての立場をはっきり書いておきます。面接は感覚でやらない。「話していて良さそうだった」「うちに合いそうだった」を評価の理由にしない。最初の2分で動いた印象を、残りの58分で検証する時間として面接を設計する。以下はその具体的なやり方です。

最初の2分で傾いた印象は、そのあとの質問をゆがめる

第一印象そのものは消せません。人は会った瞬間に相手を評価します。問題は、印象が決まったあとの面接官のふるまいです。

良い印象を持った応募者には、答えやすい質問をしてしまう

最初に「良さそうだ」と感じると、面接官は無意識にその結論を裏づける材料を集めにいきます。得意分野の話を広げ、うまく答えられなかった部分は「緊張していただけ」と解釈する。逆に、入室時の表情や第一声で「合わない」と感じた応募者には、確認のための質問が鋭くなり、沈黙は準備不足と受け取られます。

同じ60分を使っても、2人の応募者から引き出した情報の量と種類はまったく違います。この状態で並べて比較すれば、最初の2分の印象がそのまま結論になります。面接をしたつもりで、実際には印象を補強しただけです。

見た目・話し方・テンポは、仕事の成果とは別の指標

はきはき話す、目を見る、間を置かずに答える。これらは面接という場に慣れているかどうかの指標であって、入社後に成果を出せるかどうかとは別物です。営業職や接客職なら対話能力そのものが要件に含まれますが、経理・製造・開発・施工管理の採用で同じ基準を使えば、職務と関係のないところで人を落とすことになります。

転職回数や空白期間も同じです。理由を聞かずに回数だけで判断すると、会社都合の離職や家族の介護による離職まで同じ扱いになります。聞くべきは回数ではなく、そのときに何を考えて、何を選んだかです。

自分を売り込むのが苦手な人ほど、評価から取りこぼされる

応募者はたいてい緊張しています。自分の成果を自分の言葉で語るのが得意な人は、実際にはそれほど多くありません。「チームでやったことなので」と前置きして、自分の貢献を小さく言う人もいます。

面接官がその状況を理解していなければ、売り込みが上手な応募者ばかりが高く評価されます。現場で地道に成果を出すタイプほど面接では目立たないため、採用のたびに同じ型の人だけが集まる結果になります。応募者の良い部分は、放っておいても出てきません。意識的に引き出す必要があります。

面接官だけが、準備なしで本番に臨んでいる

応募者側は面接の準備をしています。書籍も動画も転職エージェントの模擬面接もあり、想定問答を練習してから来ます。一方の面接官は、面接の進め方を学ぶ機会がないまま、ある日「次の人、お願いします」と当日に席に着くことが珍しくありません。

「人を見る目」は面接の回数では育たない

面接を100回やれば見る目が養われる、とは限りません。採否の結果と、その後の活躍・定着を照らし合わせる機会がなければ、自分の判断が当たっていたのかどうかを知る方法がないからです。半年後に辞めた人を自分が高く評価していたことも、見送った人が他社で活躍していることも、面接官には届きません。

結果が返ってこない作業は、何年続けても上達しません。回数ではなく、評価項目・質問・記録を決めてから面接に入り、入社後の様子と突き合わせることで、はじめて精度が上がります。

現場の社員が面接に入るときほど準備が必要になる

二次面接や最終面接を現場の責任者が担当する会社は多く、技術的な見極めはそこでしかできません。ただ、現場の責任者は面接の専任ではないため、自分の経験と好みで質問を組み立てがちです。「自分と同じやり方ができるか」を基準にすると、チームに足りていない視点を持った人ほど通りません。

現場が面接に入ること自体は正しい判断です。問題は、何を見てほしいかを渡さないまま面接を任せていることにあります。

感覚でやらない面接に変える4つの手順

特別な道具はいりません。順番を変えるだけで、面接の中身は変わります。

手順1:評価項目を先に決める(3〜5個まで)

求人票を開く前に、この採用で何を満たしてほしいかを3〜5個に絞って書き出します。多くても5個です。10個の項目を用意すると、面接中に全部は見られず、結局は印象で埋めることになります。

項目は職務に紐づけて具体的に書きます。「コミュニケーション能力が高い」では、面接官ごとに別のものを測ります。「他部署に仕様変更を依頼し、相手の都合も踏まえて期日を調整した経験がある」まで落とすと、何を聞けばよいかが決まります。

この作業は求人原稿の品質にも直結します。何を満たしてほしいかが言葉になっていない状態では、応募を集める段階からずれていきます。採用条件の整理については採用ページの作り方でも触れています。

手順2:全員に同じ質問を、同じ順番で聞く

評価項目ごとに、全員へ必ず聞く質問を決めます。その場で思いついた質問だけで進めると、応募者ごとに聞いた内容が変わり、比較ができなくなります。

すべてを台本にする必要はありません。全員に共通で聞く質問を項目あたり1〜2問決めておき、残りの時間は回答に応じた深掘りに使います。順番を揃えるのは、面接の前半と後半で面接官の集中力が違うためです。

手順3:意見ではなく、過去の行動を聞く

「ストレスに強いですか」「リーダーシップはありますか」と聞けば、ほとんどの応募者は「はい」と答えます。自己評価を聞いても判断材料は増えません。聞くのは実際に起きたことです。

  • どんな状況だったか(いつ・どの職場で・誰と)
  • 何を任されていたか、自分の担当範囲はどこまでか
  • 実際に何をしたか(本人が動かしたこと)
  • 結果はどうなったか、そこから次に何を変えたか

この4点を1つのエピソードについて順に聞くと、話の具体性で貢献の大きさが見えてきます。「売上を伸ばしました」で止まらず、何件訪問して、どの提案が通り、同僚は何をしていたのかまで聞きます。借り物の成果はここで輪郭がぼやけます。

仮定の質問(「もし納期に遅れそうになったらどうしますか」)は、答える力を測っているのであって、実際の行動を測っていません。使うなら補助として、過去の行動を聞いたあとに回します。

手順4:面接中に記録し、終わった直後に点数をつける

評価を後回しにすると、記憶に残った数シーンだけで点数をつけることになります。面接が終わって応募者が退室したら、別の作業に移る前に、評価項目ごとの点数と、その根拠になった発言を書きます。所要5分です。

記録に残すのは解釈ではなく発言です。「前向きな人」ではなく「前任者の退職で引き継ぎが2人分になり、手順書を作って新人に渡したと話した」と書きます。複数名で面接したときは、点数を見せ合う前にそれぞれが書き、そのあとで差が大きい項目だけを話し合います。先に意見を言い合うと、声の大きい人の評価に全員が寄ります。

応募者の良い部分を引き出す聞き方

質問を決めても、応募者が話しづらい空気のままでは中身が出てきません。引き出す側の技術が要ります。

冒頭の2分を、評価ではなく緊張をほどく時間に使う

最初の2分で判断が傾くのなら、その2分を評価に使わないという決め方ができます。面接の冒頭は、今日の流れ(所要時間・何を聞くか・質問の時間があること)を伝える説明に充てます。この2分で判断材料を取ろうとしないだけで、印象の影響は小さくなります。

沈黙を5秒待つ

考えている応募者に助け舟を出すと、面接官が用意した答えをなぞらせることになります。質問したあとの沈黙は5秒待ちます。思い出すのに時間がかかる質問をしているのだから、沈黙は当然です。

答えが抽象的なときは、場面を1つ指定して聞き直す

「臨機応変に対応していました」で止まったら、「直近で一番大変だった案件を1つ挙げてください」と場面を指定します。範囲を狭めると具体的な話が出てきます。それでも出てこないときに、はじめて経験の不足を疑います。

面接官が7割聞き、3割話す

自社の魅力を伝えようとして面接官が話し続ける面接は、情報を取れないまま終わります。説明は、応募者の話を聞いたあとに、その人が気にしている点へ合わせて伝えるほうが届きます。会社説明は面接の後半、もしくは資料で補います。

質問の引き出しを増やすなら、先に型を借りる

評価項目に合う質問を一から作るのは手間がかかります。既存の質問集から自社の職種に合うものを選び、言い回しを自社の言葉に直すほうが早く仕上がります。

冒頭に引用した書籍は、面接官側の視点で質問と回答の読み取り方をまとめたものです。質問文そのものに加えて、その質問で何を確かめるのか、返ってきた答えをどう解釈するのかが書かれているため、評価項目と質問を結びつける作業の下敷きになります。

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採用の工程全体を整えたい場合は、採用を仕組み化する本おすすめ30選も参考になります。面接だけを直しても、応募から日程調整までが詰まっていれば採用数は変わりません。

面接官のトレーニングは、研修より「同席とすり合わせ」が早い

外部研修を手配しなくても、社内でできることがあります。

同じ応募者を2人で面接し、評価のずれを見る

同席した2人がそれぞれ点数をつけ、終わったあとに差が大きい項目を突き合わせます。「同じ回答を聞いて、なぜ一方は3点で、もう一方は5点だったのか」を話すと、評価項目の言葉が足りていない箇所が見つかります。この作業を3〜4回繰り返すと、面接官同士の基準が揃ってきます。

採用した人の半年後を、面接の記録と突き合わせる

入社から半年たったタイミングで、面接時の評価と現在の様子を並べます。高く評価した項目が実際に強みとして出ているのか、懸念した点が問題になっているのか。ここで初めて、自分たちの見立ての精度が分かります。見送った応募者については結果を追えないため、採用した人の記録だけが手がかりになります。

辞退された面接も振り返りの材料にする

内定辞退や面接後の連絡途絶は、見極めとは別の問題として扱われがちです。ただ、圧迫気味の質問、長すぎる沈黙、会社説明ばかりの面接は、その場で志望度を下げます。面接は見極めの場であると同時に、応募者が会社を見る場でもあります。辞退が続く時期があれば、担当した面接官と質問内容を並べてみると共通点が出てきます。

自社だけで回しきれないときの選択肢

ここまでの手順は、やることが決まれば難しくありません。難しいのは時間の確保です。面接の設計、日程調整、一次面接の実施、記録と振り返りを、通常業務と並行して続けるのは負荷が高く、採用が立て込む時期ほど「とりあえず会って決める」に戻ります。

Coreでは、評価項目の設計から一次面接の実施、記録の提出までを引き受ける面談・面接代行を提供しています。面接の実施だけを外に出し、最終判断は自社で行う形です。評価の基準はあらかじめすり合わせ、面接ごとの発言記録を残して渡します。

実際の進め方は不動産仲介の面接代行事例にまとめています。応募後の日程調整を素早くすることで、面接の実施率そのものが変わった例です。採用の工程全体に手が回らない場合は採用代行(RPO)、募集の入口から見直すなら求人広告の運用代行が対応範囲になります。

まとめ

面接の判断が最初の2分で傾くのは、面接官の能力の問題ではなく、準備なしで本番に臨む状態が続いているためです。印象をなくすことはできませんが、印象を検証する手順は作れます。

次の面接までにできることは4つです。評価項目を3〜5個に絞って書き出す。項目ごとに全員へ聞く質問を決める。意見ではなく過去の行動を聞く。終わった直後に点数と根拠の発言を書く。この4つを入れるだけで、面接は印象の確認作業ではなくなります。

そして、売り込みが苦手な応募者から良い部分を引き出せるかどうかは、質問の作り方と沈黙の扱い方で決まります。優秀な人材を「自己PRが弱い」という理由で見送っていないか、直近3人の面接記録を見返すところから始められます。

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面接の評価項目づくりも、一次面接の実施も、通常業務と並行して続けるには時間がかかります。いま何人体制で、どの工程に時間を取られているかをうかがえれば、外に出せる部分と社内に残す部分を切り分けてお伝えします。

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