採用ページの作り方|求人広告を出す前に考えるべき「誰を採り、何年働いてもらい、どう組織を作るか」という話

茶色と灰色の円や長方形を組み合わせた幾何学模様 求人広告・採用広報

採用について相談を受けていると、「Indeedを運用したい」「求人ボックスの応募単価を下げたい」「もっと応募を増やしたい」という相談をいただくことが非常に多いです。ただ、私は採用マーケティングを考えるとき、最初からIndeedや求人ボックスの管理画面を見ることはあまり重要ではないと思っています。もちろん広告運用には技術がありますし、求人タイトルを変える、原稿を書き換える、予算配分を変える、クリック率や応募率を見ながら改善する、といった運用は必要です。しかし、それ以前に「そもそも、どんな人を採用したいのか」「その人はなぜこの会社を選ぶのか」「その人に何年くらい働いてほしいのか」「入社したあと、どのように評価され、どのように給与が上がり、どのようなキャリアを歩めるのか」という会社側の設計が曖昧なまま求人広告だけを強くしても、どこかで限界が来ます。

求人広告は、採用のすべてではありません。むしろ私は、Indeedや求人ボックスのような媒体は「認知を取る場所」に近いと考えています。求職者が求人を発見し、クリックし、会社を知る。そのあとに求人票を読み、採用ページを見て、会社について調べ、場合によってはSNSを見て、口コミを検索して、「この会社なら応募してもいいかもしれない」と判断する。つまり広告は入口であって、応募するかどうかを決めるのはその先にある情報です。今回の採用支援でも、実際に求人広告だけを運用するのではなく、採用ペルソナを設計し、そのペルソナが反応する採用サイトを作り、そのうえでIndeedや求人ボックスから流入させるという考え方を取っています。

実際、施工管理職の採用では、もともと約7万円の広告費を使って応募2件、CPAにすると約3万5,000円という状態が確認されていました。一方、過去の運用実績では、Indeedと求人ボックスを使って半年間で約30名の応募、応募単価約7,000円まで改善した事例があります(詳しくは建設会社の施工管理職採用の事例にまとめています)。ただし、この数字だけを見て「Indeedの運用方法を変えればCPAが下がる」と考えてしまうのは少し危険です。重要なのは、広告の裏側で何を準備していたのかということです。求人票を書き直し、求職者が何を気にするのかを考え、どの仕事を任せるのか、残業や休日はどうなっているのか、資格取得支援があるのか、入社後どのようなキャリアを歩けるのかなどを具体的に整理し、「この会社に応募する理由」を作ったうえで広告を運用する。採用広告は、その準備をした会社に対して最後にアクセルを踏むためのものだと思っています。

採用ページとは「会社紹介ページ」ではなく、採用戦略を言語化したページである

採用サイトや採用ページというと、「会社概要」「代表メッセージ」「社員紹介」「福利厚生」「募集要項」などを並べたページを想像する人が多いと思います。それ自体は間違っていません。ただ、私は採用ページをもう少しマーケティング的に考えたほうがいいと思っています。採用ページとは、単に会社を紹介するページではありません。「当社は誰を採用したいのか」「その人にどのような価値を提供できるのか」「この会社と相性が良いのはどんな人なのか」「逆にどんな人には向いていないのか」を明確にするページです。

営業のランディングページを作るときに、「誰にでもおすすめの商品です」とは普通書きません。誰の、どんな課題を、どのような方法で解決する商品なのかを決めます。採用もまったく同じです。「明るく元気な人を募集しています」「やる気のある方歓迎」「アットホームな職場です」だけでは、ほとんど情報になっていません。それよりも、「施工管理として現場管理に集中したい人」「将来的にマネジメントまでやりたい人」「営業として成果に応じたインセンティブを重視する人」「未経験から専門技術を身につけたい人」など、できる限り具体的に対象者を定義したほうがいい。

先日の打ち合わせでも、施工管理、営業、現場作業員などは仕事内容がまったく違うため、最低でも職種別に複数のページを作り、それぞれ別の訴求をするべきだという話をしています。これは非常に重要です。営業職に刺さる情報と施工管理に刺さる情報は違いますし、同じ施工管理でも、経験者と未経験者では知りたい情報が違います。経営幹部候補と現場プレイヤーでも、仕事選びの基準は変わります。それを一枚の「採用情報」というページに全部押し込んでしまうと、結局誰にも強く刺さらないページになります。

採用ページを作る前に「採用ペルソナ」を決める

採用ページを作るとき、最初にデザインを考える会社があります。私はこれは逆だと思っています。最初に考えるべきなのは採用ペルソナです。どんな人に来てほしいのかを決め、その人が知りたい情報を整理し、その後にページを設計する。

ここでいうペルソナは、「30代男性、既婚、子ども1人」のような表面的な属性だけではありません。もちろん職種や経験年数、保有資格なども必要ですが、それ以上に重要なのは、「なぜその人が転職しようとしているのか」です。

同じ営業職でも、「とにかく稼ぎたい」という人と、「営業力を身につけて将来独立したい」という人と、「家族との時間を増やしたいので残業を減らしたい」という人では、刺さる求人は全く違います。「年収1,000万円可能」という求人が刺さる人もいれば、「年間休日125日・残業月10時間」のほうが魅力的な人もいます。

施工管理でも同じです。「もっと大きな案件を担当したい」「現場作業ではなく管理に集中したい」「資格を取得したい」「出張を減らしたい」「地元で働きたい」「給与を上げたい」「管理職になりたい」。それぞれ転職動機が違います。

だから採用ページには、その会社が提供できる価値を全部並べればいいわけではありません。採りたい人が最も重視している価値を前に出す必要があります。先日の打ち合わせでも、採用ペルソナについて、性別や年齢だけではなく、「成長したいのか」「近くで働きたいのか」「稼ぎたいのか」といった転職動機まで考える必要があるという議論をしています。

採用マーケティングをやるのであれば、「応募してほしい人」を決めるだけでは不十分です。「応募してほしくない人」まで決めたほうがいいと思っています。

採用では応募数が多いほど成功したように見えます。しかし、本当の目的は応募数を増やすことではありません。会社に合う人を採用することです。100人応募が来ても、全員会社に合わなければ意味がありません。反対に10人しか応募がなくても、その中から2人採用できて活躍するのであれば、そちらのほうが成功です。

そのため採用ページには、「こういう人に向いています」だけでなく、「こういう人には向いていません」という情報があってもいいと思っています。ミスマッチになりそうな人を応募前に落とすのは、一見応募率を下げているように見えます。しかし採用後の離職まで考えれば、むしろ採用全体の効率は高くなります。打ち合わせでも、欲しい人材像と欲しくない人材像を採用コンテンツで明確にすることで、採用後のミスマッチを減らすという考え方が出ています。

職種が違えば、採用ページで伝える「報酬」も違う

採用ページを作るときに、「給与」を一つの項目として考える会社は多いのですが、実際には職種によって給与の意味が大きく違います。

たとえば営業職であれば、固定給だけではなくインセンティブが非常に重要です。「基本給30万円」と書かれていても、成果を出した人がどのくらい稼げるのか、何件受注すればいくら支給されるのか、評価は売上なのか粗利なのか、個人評価なのかチーム評価なのか、上限はあるのか、賞与とは別なのか、といったことを知りたい人は多いでしょう。

特に成果志向の強い営業人材を採りたいのであれば、「賞与あり」とだけ書くのでは不十分です。成果を出した人がどう報われる会社なのかを具体的に示したほうがいい。

一方で施工管理の場合、必ずしもインセンティブが最重要とは限りません。担当する現場の規模、現場数、出張、休日、残業、資格手当、資格取得支援、施工管理以外の業務をどこまで担当するのか、といった情報のほうが重要になることがあります。打ち合わせでも、営業の場合はインセンティブの詳細が重要になる一方、施工管理やマネジメント職では残業や仕事内容など別の情報が重要になるという話が出ています。

さらに、経営幹部候補であればまた違います。給与水準だけではなく、意思決定権、担当領域、経営会議への参加、事業責任、将来的な役員登用、ストックオプションなどが魅力になる可能性があります。

つまり「給与・福利厚生」という一つの枠で全職種を説明するのではなく、職種ごとに「この人が仕事を選ぶとき、何を報酬だと感じるのか」を考えるべきです。給与だけではありません。裁量、経験、スキル、役職、休日、勤務地、人間関係、専門性、独立可能性、ブランド、安定性。人によって価値は違います。

採用ページは、その交換条件を明確にする場所だと思っています。

「未経験歓迎」と書くなら、なぜ未経験でも大丈夫なのかまで説明する

求人広告で非常によく見る言葉が「未経験歓迎」です。しかし、求職者の立場からすると、「未経験歓迎」と書かれているだけでは本当に未経験で応募していいのか分かりません。

特に専門職ではそうです。

施工管理、ITエンジニア、広告運用、マーケティング、製造、整備、建築など、専門知識が必要な仕事で「未経験歓迎」と書いてあっても、「本当に何も知らなくてもいいのか」「入社した瞬間に現場に放り込まれるのではないか」「経験者と同じ成果を求められるのではないか」と不安になります。

だから未経験者を採用するのであれば、「未経験歓迎」ではなく、「未経験者を戦力化できる構造」を説明する必要があります。

たとえば、入社後1ヶ月目に何を学ぶのか、誰が教えるのか、研修時間は勤務時間として確保されているのか、3ヶ月後には何ができる状態を目指すのか、資格取得費用は会社が負担するのか、過去に未経験から入社した社員がどのように成長したのか。

そこまで書いて初めて、「本当に未経験でも大丈夫なんだ」と理解できます。

打ち合わせでも、未経験者に対しては、研修制度や育成時間を会社として構造的に確保していることまで説明し、「だから未経験でも応募して大丈夫」と伝える必要があるという話をしています。また、未経験者向け求人と経験者向け求人は、求人票も採用ページも分けるべきだという方向性になっています。

これは非常に重要だと思います。

経験者が見たいページと未経験者が見たいページを同じにしてはいけません。

経験者は「自分の経験がどのように評価されるのか」「給与はいくらになるのか」「どんな仕事を任されるのか」「裁量はあるのか」を知りたい。

未経験者は「本当に自分でもできるのか」「誰が教えてくれるのか」「何ヶ月くらいで仕事を覚えられるのか」を知りたい。

採用ページは、この不安を一つずつ取り除くページであるべきです。

採用ページには「何年働いてほしいのか」という経営思想まで反映させたほうがいい

ここからは、少し一般的な採用論とは違う話をします。

私は、採用を考えるときに「この人に何年働いてほしいのか」まで決めたほうがいいと思っています。

日本企業の採用では、「できるだけ長く働いてほしい」という言葉がほぼ無条件に良いものとして使われます。しかし私は、必ずしも全職種でそう考える必要はないと思っています。

会社によって、仕事によって、長期雇用との相性は違います。

たとえば、職人の技術が競争力になっていて、その技術を10年、20年かけて磨くことで商品品質が上がっていく会社であれば、長く働いてもらうことには非常に大きな価値があります。製造、工芸、一部の専門技術職などでは、経験そのものが企業資産になるケースがあります。そういう会社なら、なるべく離職しない人を採用し、長期雇用を前提に給与制度やキャリア制度を設計したほうがいいでしょう。

一方で、コンサルティング、マーケティング、営業、ITなど、個人の成長速度が非常に速く、転職市場も活発な業界では、「20年間働いてくれる人」を採用条件にしてしまうこと自体が現実と合っていない場合があります。

私自身の会社の場合は、かなり後者寄りです。

うちの仕事はコンサルティング的な要素が強いので、優秀な人ほど出世欲や成長欲が強かったり、自分で事業をやりたくなったり、より大きな仕事に挑戦したくなったりします。実際、先日の打ち合わせでも、「3年、5年程度で人材が入れ替わっていく前提で組織設計をしている」という話をしています。

これは「人を大切にしない」という意味ではありません。

むしろ逆で、その人のキャリアを尊重した結果として、「いつか辞める可能性」を最初から組織設計に織り込むという考え方です。

私は人間不信なので、「ずっと働いてくれるはず」という前提で会社を作らない

もう少し個人的な話をすると、私はかなり人間不信寄りです。

これは別に社員を信用していないという単純な話ではありません。

人間の人生なんて変わると思っているということです。

結婚するかもしれない。子どもが生まれるかもしれない。親の介護が必要になるかもしれない。もっと給料の高い会社から誘われるかもしれない。独立したくなるかもしれない。海外に行きたくなるかもしれない。仕事そのものに飽きるかもしれない。ある日突然別の職種に興味を持つかもしれない。

会社側からすれば、「この会社を好きでいてほしい」「10年、20年働いてほしい」と思うことはできます。ただ、それを経営上の前提にするのは私は怖いです。

「この社員はずっといてくれる」
「この人しかこの業務はできない」
「この人が辞めたら会社が回らない」

この状態を作ってしまうほうが経営リスクだと思っています。

だから私は、人が辞める前提で会社を作ったほうがいいと考えています。

3年で辞める人もいる。5年働く人もいる。もちろん10年残ってくれる人もいるかもしれない。

でも、誰か一人が退職した瞬間に業務が止まる会社にはしない。

そのためにはマニュアルを作る。SOPを作る。顧客情報をCRMやSFAに残す。商談履歴を残す。タスクを共有する。属人的なノウハウをドキュメントにする。誰かしか分からない業務を減らす。特定社員だけが持っている顧客との関係を会社の資産に変える。

採用と仕組み化は別々のテーマに見えますが、本当はかなり近い話です。

人が入って、人が育って、人が成果を出して、いつか人が辞める。

その循環を前提に会社を設計する。

私はそのほうが健全だと思っています。

「一生この会社で働いてください」という採用ではなく、「この会社にいる数年間で、お互いにできるだけ大きな価値を作りましょう」という雇用関係でもいいと思います。

もちろんこれは会社によります。

全企業におすすめしたい考え方ではありません。

ただ少なくとも私自身は、「社員がずっと働いてくれることが嬉しい」という感情を中心に採用制度を作る経営には、あまり向いていません。

私が嬉しいのは、その人が会社にいる間に成果を出し、成長し、顧客に価値を提供し、会社にも利益を残してくれることです。そして退職するときには、その人しか分からない仕事が大量に残るのではなく、次の人が引き継げる構造が残っている。

そのほうが経営として再現性があります。

「離職率を下げること」だけを採用KPIにしなくてもいい

採用や人事では、離職率が低い会社が良い会社であるという考え方があります。もちろん、社員が次々と辞めてしまう会社に問題がある可能性はあります。しかし私は、離職率は単体では判断できない数字だと思っています。

たとえば、高度なコンサルティング会社で、非常に成長意欲の高い人を採用し、3年〜5年間猛烈に経験を積ませ、その後独立したり大企業に転職したりする人が多いとします。

離職率だけ見れば高いかもしれません。

しかし、その3年〜5年間に非常に高い価値を生み出しているのであれば、それは一つの組織モデルとして成立します。

反対に、離職率は非常に低いけれど、新しいことに挑戦する人が少なく、会社の成長も止まっている場合、それを単純に「良い会社」と評価できるかは別問題です。

重要なのは、自社がどのような組織を作りたいのかです。

長期雇用型なのか。

高成長・高流動型なのか。

専門職を長期間育成する会社なのか。

若手が数年間でスキルを身につけて次のステージに進む会社なのか。

この組織思想によって、採用ページに書く内容も変わります。

長期雇用型なら、「10年後のキャリア」「退職金」「家族手当」「安定性」「長期的な昇給」を訴求する。

高流動型なら、「3年間で身につくスキル」「担当できる案件」「裁量」「独立支援」「市場価値」を訴求する。

どちらが正しいという話ではありません。

経営者がどんな会社を作りたいのかで決めるべきです。

経営者の性格によっても、採用戦略は変わる

ここも意外と重要です。

採用戦略には、経営者の性格がかなり反映されます。

社員に長くいてほしい経営者もいます。社員を家族のように考える経営者もいます。若手を育てることに強い喜びを感じる経営者もいます。反対に、成果を出してくれれば働き方や在籍期間にはあまりこだわらない経営者もいます。

どちらが良いという話ではありません。

問題は、自分の性格と違う人事制度を作ることです。

本当は成果主義なのに、「家族のような会社です」と採用ページに書く。

本当は長く働いてほしいのに、「独立歓迎」と打ち出す。

本当はルール重視なのに、「自由な会社です」と言う。

こういうズレが一番危ない。

採用マーケティングでは、魅力的に見せること以上に、本当の会社を正しく伝えることが重要だと思っています。

会社の性格を隠して採用しても、入社後に必ずバレます。

私は比較的人間不信なので、人がずっと残る前提では会社を作りません。その代わり、人が入れ替わっても会社が回るように仕組み化します。だから採用でも、「一生働いてください」というより、「この環境を使って成長してください。ただし、在籍している間はちゃんと成果を出してください」という設計のほうが自分には合っています。

経営者自身が何を信じているのかを整理することは、意外と採用ページを作るうえで重要です。

属人性を排除することと、優秀な人を採ることは矛盾しない

「仕組み化すると社員の個性がなくなる」と考える人もいますが、私はそうは思いません。

むしろ仕組み化するからこそ、優秀な人がより高度な仕事に集中できます。

たとえば営業であれば、顧客情報の記録、商談ステータス、提案資料、見積書、フォローアップなどの基本業務を仕組み化する。マーケティングなら、広告入稿、レポート、分析方法、クリエイティブ制作フローを標準化する。人事なら、候補者管理、面接評価、求人掲載、選考連絡を仕組み化する。

誰でもできる仕事を誰でもできる状態にする。

そのうえで、優秀な人には、戦略、企画、交渉、顧客との関係構築、新規事業など、人間にしかできない仕事を任せる。

これが私は強い組織だと思っています。

社員が辞めても困らない会社を作るというと冷たく聞こえるかもしれません。

でも私は、逆だと思っています。

一人の社員に「あなたがいないと会社が回らない」という状態を背負わせるほうが負担です。

誰かが休んでも回る。

誰かが辞めても回る。

新しい人が入っても短期間で仕事を理解できる。

それが仕組み化です。

採用ページは「入社後の仕事」をできる限り具体的に書く

採用ページで最も重要な情報の一つは、実際に何をするのかです。

会社の理念や代表メッセージだけではなく、入社後の一日、一週間、一ヶ月を具体的に説明する。

施工管理なら、何件の現場を担当するのか。現場と事務作業の割合はどのくらいか。直行直帰はあるか。どのエリアを担当するのか。どのくらいの規模の工事なのか。協力会社との調整はどの程度あるのか。

営業なら、新規営業と既存営業の割合はどのくらいか。テレアポをするのか。商談だけ担当するのか。リードは会社から提供されるのか。個人目標はいくらか。インセンティブはいくらか。商談件数はどのくらいか。

未経験者なら、入社初月に何をするのか。研修は何日あるのか。いつから一人で仕事をするのか。

管理職なら、何人をマネジメントするのか。プレイングマネージャーなのか。採用や評価にも関与するのか。

この粒度まで書く。

なぜなら求職者が怖いのは「よく分からないこと」だからです。

給与が多少低くても仕事内容が明確な会社を選ぶ人もいます。逆に給与が高くても仕事内容が曖昧だと応募をためらう人もいます。

採用ページの役割は、不安を減らすことです。

求人広告と採用ページはセットで考える

Indeedや求人ボックスを運用していて応募が来ないと、求人タイトルを変えたり、広告予算を増やしたり、入札を調整したりしたくなります。

もちろん、それも必要です。

ただし広告運用だけでは限界があります。

先日の打ち合わせでも、「Indeedや求人ボックスはあくまで認知なので、受け皿がしっかりしていなければテクニカルな運用だけでトップラインを伸ばすには限度がある」という話をしています。

これは広告全般に共通する話です。

広告は商品を良くしてくれるわけではありません。

良い商品を多くの人に見せるのが広告です。

採用広告も同じです。

採用条件、仕事内容、キャリア、給与、研修、会社文化という「採用商品」が悪ければ、広告だけを改善しても限界があります。

逆に採用商品が良ければ、広告は非常に強力です。

だから採用マーケティングでは、「Indeed運用」と「採用サイト制作」を別々に考えないほうがいいと思っています(当社の求人広告の運用代行も、求人票と受け皿の見直しから入るのはこのためです)。

一つのファネルです。

Indeedで認知する。

求人票を読む。

会社を検索する。

採用ページを見る。

社員紹介を見る。

SNSを見る。

応募する。

面接する。

入社する。

活躍する。

この一連の流れを設計します。

採用ページは、一度作って終わりではない

採用ページも広告と同じで、運用するものです。

アクセス数を見る。

どの職種ページが読まれているかを見る。

どのページから応募されているかを見る。

どこで離脱しているかを見る。

応募者に「どの情報が参考になったか」を聞く。

面接辞退者に理由を聞く。

入社者に「応募するときに何が不安だったか」を聞く。

半年後に退職した人がいれば、「採用時に説明できていなかったことは何か」を考える。

そこからページを直す。

こうやって採用ページは少しずつ強くなります。

求人票の改善効果が掲載を続ける限り残り、採用改善が単発の広告費ではなく資産として積み上がっていくというのも、今回の支援で重視しているポイントです。

ATSを使って「今すぐ採用しない人」も資産にする

採用マーケティングを中長期で考えるのであれば、ATS、つまり採用管理システムも重要です(ATSの選び方はIndeedエントリー対応ATSの記事で書いています)。

採用はタイミングの問題が大きいです。

非常に良い候補者でも、今はポジションがない。

給与条件が合わない。

本人がまだ転職を決めていない。

他社に決まった。

こうした理由で採用できないことがあります。

しかし半年後には状況が変わるかもしれません。

会社側に新しいポジションができるかもしれない。

候補者側が転職を再検討するかもしれない。

だから一度接点を持った候補者を捨てない。

今回の提案でも、ATSに候補者情報や評価を残し、3ヶ月後、半年後に再度アプローチできる構造を作るという考え方を示しています。

採用はフローだけでなくストックで考えたほうが強い。

毎月ゼロから応募者を探すのではなく、時間が経つほど候補者データベースが増える会社を作る。

これはかなり大きな差になります。

採用していない時期にも、完全に採用活動を止めない

もう一つ重要なのが、採用活動をオン・オフしすぎないことです。

人が足りなくなってから求人を出す。

採用できたら全部止める。

また人が辞めたら求人を出す。

この繰り返しをしている会社は多いと思います。

しかしこれだと毎回ゼロからスタートになります。

採用サイトへの流入も止まる。

広告データも途切れる。

候補者ストックも増えない。

採用ノウハウも蓄積しない。

だから採用ニーズが少ない時期でも、最低限の露出を残しておくという考え方があります。先日の打ち合わせでも、採用を積極的に行っていない時期にもIndeedで最低限の広告を出し、認知と候補者ストックを維持するという話をしています。

これは会社の規模によって金額は変わりますが、考え方として重要です。

採用費を「人が足りない時だけ発生する臨時費用」ではなく、「会社を維持・成長させるための固定的な投資」と考える。

マーケティングと非常によく似ています。

売上が悪くなったから広告を全部止めると、さらに売上が落ちることがあります。

採用も、人が足りなくなってから始めるのでは遅い。

良い人が市場に出ているタイミングと、自社が欲しいタイミングは一致しません。

だから常に薄く接点を作る。

採用ページを作るときに最初に決めるべきこと

ここまでの話をまとめると、採用ページ制作はデザイン制作ではありません。

最初に決めるのは、会社の採用思想です。

どんな事業を作りたいのか。

そのためにどんな人が必要なのか。

その人に何年くらい働いてほしいのか。

長期雇用を重視するのか。

数年でのキャリアアップや独立も許容するのか。

その職種は成果主義なのか。

安定を重視するのか。

経験者を採るのか。

未経験者を育てるのか。

何を評価するのか。

給与はどう上がるのか。

インセンティブは何に連動するのか。

入社後どんな仕事をするのか。

何をすると評価されるのか。

どんな人には合わない会社なのか。

これらが決まって、初めて採用ページを書くことができます。

私は採用ページとは、会社と求職者の「契約条件を応募前にできる限り透明にするページ」だと思っています。

良いことだけを書く必要はありません。

大変なことも書いたほうがいい。

残業があるなら書く。

営業目標が厳しいなら書く。

成果主義なら書く。

成長速度を求めるなら書く。

逆に、急激な昇給はないけれど安定して長く働ける会社なら、それを書く。

そのほうが結果としてミスマッチが減ります。

採用マーケティングのゴールは「応募数」ではなく、会社が成長する人材構造を作ること

私は、採用広告のCPAを下げること自体を最終目的にはしていません。

もちろんCPA3万5,000円が7,000円になれば素晴らしいです。

応募数が増えるのも良いことです。

しかし本当に重要なのは、その先です。

採用した人が活躍する。

顧客に価値を提供する。

会社に利益を残す。

その人が辞めても仕事が引き継がれる。

また新しい人が入る。

その人も短期間で立ち上がる。

この循環が回る。

それが強い会社だと思っています。

だから採用ページを作ることは、単なるWeb制作ではありません。

経営戦略に近い仕事です。

どういう人を採用するかを決めれば、会社の未来が変わります。

どんな人を評価するかを決めれば、組織文化が変わります。

何年働いてもらう前提なのかを決めれば、教育制度も変わります。

離職をどう捉えるかで、マニュアルや仕組み化のレベルも変わります。

営業職を成果主義にするなら、インセンティブ制度を作る必要があります。

未経験者を採るなら、研修制度を作る必要があります。

専門職を長期雇用するなら、資格制度やキャリアパスを作る必要があります。

幹部候補を採るなら、権限移譲について考える必要があります。

つまり、採用ページを書こうとすると、自社の組織設計の曖昧な部分が全部見えてきます。

「この質問に答えられない」という箇所こそ、会社としてまだ決まっていない部分です。

最後に|求人広告を出す前に、自社の採用思想を作る

採用に困ったとき、多くの会社はまず求人媒体を探します。

Indeedに出そう。

求人ボックスに出そう。

人材紹介を使おう。

採用広告を増やそう。

もちろん、それも必要です。

しかし、その前に一度考えてみてください。

誰を採りたいのか。

なぜその人なのか。

その人は何を求めて転職するのか。

自社は何を提供できるのか。

何年働いてほしいのか。

辞めることをどう考えるのか。

その人が辞めても会社は回るのか。

職種ごとに何を評価するのか。

営業と施工管理で同じ給与制度でいいのか。

経験者と未経験者に同じ採用ページを見せていいのか。

長期雇用を求める会社なのか。

人材が数年で入れ替わることを前提にした会社なのか。

経営者自身は、人に何を期待しているのか。

ここまで考えたうえで採用ページを作ると、ページの中身は大きく変わります。

私は、人がいつか辞めることを前提に会社を作っています。

それは社員を疑っているからというより、「人の人生を会社が完全にコントロールすることはできない」と考えているからです。

だから、長くいてくれたらもちろん嬉しい。

でも「ずっといてくれるはず」という期待には、会社を依存させない。

その代わり、その人がいる間に最大限活躍できる環境を作る。

仕事を仕組み化する。

知識を会社に残す。

誰かが抜けても次の人が引き継げる構造を作る。

そして、その考え方を採用ページにも正直に反映する。

会社によって正解は違います。

長く働く人を採る会社があってもいい。

3年で急成長して卒業していく人を採る会社があってもいい。

成果主義でもいい。

安定重視でもいい。

重要なのは、自分たちの組織モデルを理解して、そのモデルに合った人を採ることです。

採用ページは、その思想を求職者に伝えるためのページです。

Indeedや求人ボックスは、そのページを見てもらうための手段です。

広告だけで採用を解決しようとするのではなく、採用ペルソナ、職種設計、給与・インセンティブ、研修制度、キャリア、採用ページ、求人広告、ATS、そして入社後の仕組み化までを一つの構造として考える。

そこまでやって初めて、採用は「その都度人を探す活動」から、「会社の中に人が入り、育ち、活躍し、入れ替わっても回り続ける仕組み」に変わっていくのだと思います。

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求人広告の応募単価が下がらないときは、媒体の設定より先に「誰を採りたいのか」「採用ページで何を約束しているか」を見直すと数字が動くことがあります。いま出している求人票と応募状況をうかがえれば、ペルソナ設計・職種別の採用ページ・広告運用のどこから手を入れるべきかをお伝えします。

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